歩く (23)

歩く (23)

以前、大学時代の寮生活のことを書いた(キノコ1 (3))。寮には主に新入生を対象とする夏場の行事があった。それは、街中を通ってただひたすら山中の目的地まで歩き続けるというものであった。 午後に出発し、40キロほどの道程を夜通し歩き続け、朝方、目的地に到着するという行程である。歩き始めこそ元気であるが、夜も更けてくると、腹が空き、喉も渇いてくる。疲労困憊し、亡者のように山中を歩き続ける一行の前に(もちろん、舗装されたちゃんとした道路であるが)、突如、天使が舞い降りるのである。 毎年のことであり、出発時刻も決まっているので、どの時刻にどの辺りを歩いているのかわかるので、サポート隊が、寮生の車におに…